2009年11月06日

遠い世界からの帰還

今頃夫は、
きっとピンクがかった肌を撫でて戯れている頃だと分かっていた。

悔しかった。

しかし、仕方なかった。

私は遠い世界へ来ていた。



当初の予定は、夫は午前中早い時間から催し物のお手伝いに出掛けて行き、
そこへ適度な頃合に私が電車に乗って訪ねる、というものだった。

そして、ランチは私の好きなイタリアンのSINで、
久しぶりに鹿肉のラグーソースの手打ちパスタにしたいなぁと
勝手に決めていた。

そして更に午後からは別の催し物会場に移動する積りであった。


だが、その朝、目覚めてすぐに、
計画の中止を認めないワケにはいかなかった。

私は既に遠い世界へと来ていた。



遠い世界。

それは、発熱、という世界だ。

私は滅多に発熱しないのに、
どうしてこのような特別な計画のある日に限って発熱するのだろうか。



これほどくっきりと発熱したのは10年程前以来だった。

金沢旅行に行こうとしていて、西荻で早朝に食事を済ませて出発した。

風邪気味だった私は、食事の後で風邪薬を飲んで出掛けたのだが、
金沢に到着して少し遅いお昼ご飯を食べた頃には、
朝飲んだ薬が切れてきていたらしく風邪がぶり返してきたのだ。


あの時は、今回よりも更に遠い世界まで行った。

38度5分の世界まで行ったのだ。

私の人生で最高峰の世界だった。

重力だって変わった。

横たわった私は、非情な重力によって指一本すら動かせなかった。

38度5分の世界は果てしなく遠い遠い世界だった。

二度と行きたくない。



今回は、38度1分の世界まで行ってきた。

余りに久しぶりの遠い世界に、
私はこのまま未踏の世界まで行く事があったりしたら、と不安になった。

夫は、私がそんな遠い世界に行っている事も知らずに、
ピンクの肌と戯れているのだ。


もし、このまま未踏の世界まで行く事があったりしたら、どうなるのだろうか?

38度5分であの重力の世界になるのだ。

39度を越えたりしたら、私は意識が混濁してくるかもしれない。


夫の携帯に電話したが出なかった。

夫は、ピンクの肌に夢中なのかもしれない。

きゃははは〜うふふ〜。
抱っこしたりして戯れているに違いない。


姉の携帯に電話した。

姉は薬剤師なので、発熱のパターンで季節性か新型か分かるかもしれないし、
これからどう対処すればいいのか教えてもらおうと思ったのだ。

それほど私は発熱しないのだ。

大体、風邪で病院に行った事が無いのだ。

姉が言うには、発熱には個人差があるので、分からない、という事だった。

だが、夫から本宅のお方様に私の風邪がうつるのを心配して、
私は夫にこちらに来ないように言ってあったのだが、
もしも、私の発熱が未踏の領域まで行く事を懸念しているなら、
解熱剤を買って持ってきてもらっておいた方が懸命だろうと言われた。


もう一度、夫に電話した。

今度はすぐに電話に出た。

もう帰宅している、と言う。 
さっきはバイクで移動中で聞こえなかったようだ。

私は、38度1分の世界まで行っている事を話した。

38度1分の世界では、重力は通常よりも軽く感じる程であるが、
38度5分の世界まで行くと、それは反転し、何倍もになるのだ。

朝電話で一度は風邪がうつるといけないから来ないでくれと言ったが、
事態は変わり、このまま未踏の世界まで行く可能性も出てきたと話した。

姉に言われたまま、夫に薬を買ってきてもらえないかと頼んだら、
既に解熱剤を購入してあると夫は言う。

ピンクの肌におぼれないで、
私が風邪で伏せっている事を気にかけていてくれたのだ。

嬉しかった。


暫く後で夫がやってきた。

これが今夜食べるお弁当で、こっちは明日用のパンで、
これは今日のお土産で、こっちはおやつのバウムクーヘンだよ。

葛根湯と龍角散とうがい薬を買ってきてくれた。


ねぇ、ピンク色だったんでしょ?
抱っこしなかったの?

抱っこできなかった。イヤがるんだよ。
でも、おいらの手を舐めたよ。


03-11-09IMGP3803-s.jpg


あぁあ、一年に一度の催し物なのに、
今年も行く事ができなかった。

ピンクのあったかくってドキドキしている小さな体を、
来年こそは抱っこしに行きたい。


結果的には、38度1分が計測においては最高峰であった。

結局、苦しいほどの未踏の世界までは達しなかったので、
薬は一切飲まなかった。


私は、38度の遠い世界から帰還した。


だが、まだ夕方になると37度を越える。

今暫くの養生が必要なようだ。
posted by ひつじ at 21:33| Comment(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご自愛ください。
Posted by 大シマ at 2009年11月07日 04:28
大シマさん、どうもありがとうございます。

大シマさんはお元気でいらっしゃいますか?

「薬は飲まなかった」と書いたすぐ後に、
セキが出て眠れそうになくなり龍角散を飲んでしまいました。

龍角散、初めて飲みました(笑)
良く効いて眠れましたけれど、今朝は具合悪いです。

大シマさんもお体を大切になさって下さいませ。
Posted by ひつじ at 2009年11月07日 10:39

明日お会いできないのは残念ですが、
治りがけに無理せず、はやくプリンがつくれるほどに元気になって、またカフェに招待してください。

おだいじに。
Posted by えのっち at 2009年11月07日 23:31
えのっちさん、コメントをありがとうございます。

あ・・・ちょっと無理をして出掛けたので、
お目にかかれましたね(笑)

やはり、ちょっと無理だったようで、
また龍角散飲んで寝ています。。。

プリンを用意しておきますので、またぜひお越し下さいませ。
どうもありがとうございます。
Posted by ひつじ at 2009年11月09日 16:14
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