「トボる」とは、こちらに来て初めて聞いた言葉だ。
朽ちてしまう、というような事を指しているのだろうと思う。
夫がよく、本宅の畑に何かを植えた気がしたけれど見当たらない時に言う。
「アレは、トボっちまった」
夫は、言われるがままに植え付けをしたけれど、
その後はすっかり忘れ果てて、もう随分経ってから思い出した時に見てみる。
そして、どうやら見当たらない、となると、トボった、と言うのだ。
だが、私のズッキーニはそうではない。
私の畑のズッキーニは、三度目の正直がトボったのだ。
最初に植えたズッキーニは、ピーマンやパプリカと同じ時に植えたのに、
多分株に元気が無かったか、少し寒かったかして、トボってしまった。
次に植えたズッキーニは、遅霜に当たってトボった。
遅霜の時は、本当に危機的状況だった。
ピーマンとパプリカと鷹の爪もかなりマズい感じになっていた。
だが、結果的には、完全にトボったのはズッキーニだけだった。
もうダメかと諦めかけた鷹の爪も随分時間は掛かったけれど芽を出し直した。
私は、まだ諦めずに、三度目のズッキーニを購入した。
これは順調に成長を見せていた。
だが、畑の境界ぎりぎりまで除草剤を撒かれた時を境に、
あっという間に弱り、またトボってしまった。
次のズッキーニは、もう無かった。
文字通り、ホームセンターの苗売り場にもうズッキーニが売っていなかったのだ。
三度もトボってしまったズッキーニを悼んで、
今年はズッキーニを食べなかった。

昨シーズンは、ズッキーニはとても沢山採れた。
私の手首位あるものが幾つも採れたし、
随分長い事実を付けてくれた。
今年も同じ積りで、ホームセンターで苗を吟味して購入した。
本来は私の趣味であるので自分で購入するところであるが、
「コレは食費だから」と主張して、夫に買ってもらった。
夫にせっかく買ってもらったのに、今年はズッキーニはトボってしまった。
返す返すも残念だった。
パプリカは三色購入してあった。
真ん中に黄色を植えて、両脇にオレンジと赤を植えた。
一番最初に実を付けたオレンジが、長雨で一つクサって落ちた。
黄色と赤が、雨をどうにかやり過ごし、
長い長い時間をかけて、やっと熟して完全な黄色と赤のパプリカになった。
パプリカは、完全に熟すのに3週間かかる、と本に書いてあった。
今年の長雨では、日照不足でもっとかかっただろうと思う。
何とか黄色と赤のパプリカを一つづつ収穫できた。
私は、自分の畑で採れた野菜でカポナータを作りたかった。
けれど、ナスは昨年植えてみて、良いものができず、
相当水を運んでやらなければならない事がわかった。
今年はナスは植えなかった。
どうせ頂く事もあるだろうし、直売所で購入したってイイのだ。
昨年はズッキーニとピーマンが素敵に沢山できた。
今年は、買うと高いパプリカも植えてみよう。

畑で作ってカポナータに使う予定だったのは、
ズッキーニとピーマンとパプリカとバジルだ。
だが、ズッキーニはトボってしまい、ピーマンとパプリカは中々できなかった。
ピーマンが本領を発揮し始めたのは、ごく最近の事だし、
パプリカが完全に熟したのもついこの間の事だった。
既にバジルはトウが立って、余り使いたい気持ちにはならなかった。
大きなパプリカを二つ持ち帰り、
暫く食卓の上に飾り眺めていた。
そこへ、ナスを頂いた。
これは、カポナータを作るべき時が来た、という事なのだと悟った。

物足りないのは分かっていたが、ズッキーニは入れなかった。
来年は、またズッキーニを植えるのだ。
場所食いのズッキーニには1平米程は畑を空けてやらなければならない。
来年は、またふっくらした美しい黄色の花を見たい。
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