今日は、結婚記念日だ。
今月初めに、夫は、突然思い出したように言った。
「ほら、今年は、あそこ、ご飯食べに行くの、少し延ばそうか」
毎年結婚記念日にヴィラデストに食事に行くのに、
今年は連休中に当たるから延ばそう、という提案だ。
その時に、毎年の結婚記念のお祝いのクリストフルの注文もしよう、と言う。
今年は、4回目だ。
テーブルスプーン、テーブルフォーク、の次に、
昨年はソーススプーンを買ってもらった。
スプーンならあるじゃないか、という夫に、
プリンがとっても食べ易いんだよ、とソーススプーンを提案したのだ。
スプーンによって使い道が違い、中々に便利なのだと夫に分かってもらえた。
そして、今年は、スープ用のスプーンにしたのだ。

だが、夫は、先日クリストフルを注文した事で、
「ちゃんと憶えていた、おいらって、スゴい」と思い、その後は忘れている。
今日が結婚記念日だ、という事に気付いていない。
けれど、夫に、そういった記念日をソツなく憶えていて貰わなくてもイイのだ。
夫が、そういった種類の事をきっちり憶えていたりしたら、
私はちょっと調子が狂うだろう。
それに、私の楽しみも減ってしまう。
私の楽しみは、夫を驚かす事なのだ。
夫が小さな目をパチクリッとさせて、そしてハッとして、
適当な言い訳をするのを、「忘れてたね?」とちょっと怒ってみせる。
夫が「今から帰るね」と電話してきた。
今日はスープスプーンのデビューなので、ポタージュスープにした。
そして、夫が喜ぶハンバーグだ。
さて、
果たして夫は気付くだろうか?
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